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河合拓始のよしなしごと
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六日目(11.4)
早起きして、高速列車のタリスで、霧のアムステルダムからパリへ。30分遅れで1時頃北駅に到着、ユーグ・ヴァンサンが迎えに来てくれる。パリでは彼にいろいろ世話になる。メトロのMichel-Ange Auteuilまで行く。パリでの宿は、ユーグの友人の画家・詩人・サックス奏者のロランがブラジルに行っている間のアトリエを廉価で貸してもらう。
しかしその後、この日の夜が全館停電と発覚、灯りは蝋燭でしのぐにせよ、着いたとき結構冷えていたので寒さを危惧したが、結果的には何とか大丈夫だった。スーパーに買い出しに行ったりしているうちに時間もなくなり出かける。パリ郊外のモントルイユで、コントラバス奏者のスズキケンタローくんと会う。彼は在仏3年、今夏に知人のダンサーの東京公演で音をやっていて偶然再会。町を散策・食事の後、ライブ会場アンスタン・シャヴィレまで歩いて行って、クサヴィエ・シャルルのカルテットを聴く。帰宅後、この日の練習は、アトリエに置いてある電子ピアノで。

七日目(11.5)
今回のツアーは後半にライブが集中していて、前半はわりに余裕がある。午前、ロランのCDを聞いてみたり、いろいろ連絡をとったり。午後、両替しにシャンゼリゼまで。オランジュリー美術館(これまたパリで唯一の観光)でモネの睡蓮をみて、地下の常設展も見る。セザンヌはいいなあ。チュイルリー公園前の屋台で昼食。ポルト・マイヨへ。アムス音楽院ピアノ科の多賀谷くんが紹介してくれたエコールノルマル・ピアノ科の本山くん宅でピアノ練習させてもらう。彼はチッコリーニ(去年東京でソロ公演を聴いた、82歳にして技術的に全く何の衰えもないことに驚嘆した)のプライベートの生徒でもあり、繊細にして誠実な人柄。夜、アンサンブルコンタンポランのコンサートでも行ってみようかと行きかけたが、移動時間がかかりすぎ途中で断念。結局、Pyramidesの日本語ネットカフェに寄って帰る。

八日目(11.6)
午前、ユーグと待ち合わせてユーグ友人のリオネルさんソフィーさん宅でピアノ練習させてもらう。今回何人か会ったユーグの友人は皆いいひと揃い。午後、郊外のヤニクさん(翌日共演するドラマー)宅へ。庭に作ったスタジオでユーグと3人でセッション。ピアノはヤマハの白いアップライト。ヤニク宅でくつろぐ。2階でパソコン借りていたとき、ヤニクの子どものアデルとカタコトのフランス語で会話:「いくつなの?」「わたしは6歳、あなたは?」ー英語が通じないので。夜、Pigalleで箏の日原史絵ちゃんと久しぶりに会って夕食。2000年前後の数年間よく共演した彼女も在仏2年半、エネルギッシュに暮らしている、何とか箏だけで生活しているのだから大したものだ。ほぼ終電で帰宅。

九日目(11.7)
この日はユーグ、ヤニク、トランペットのジェロームとカルテットでのライブ。アムスでの公演も勿論あったけれど、ようやくツアー本始動という感じだ。慣れる時間は充分あってよかったかもしれない。昼過ぎ、本山くん宅でピアノ。夕方、ポンピドゥーセンターでピアニストのフレデリック・ブロンディさんと会う。バーバー富士の松本さんが紹介してくれたのだ。夜、会場のル・バビロ入り。駅でジェロームと落ち合う。店オーナーのシファールさんも感じがよい。軽くリハ後、近くのピザ屋で食事。本番は2セット。とにかく満員で受けも良くよかった。帰宅は午前3時。ピアノはAlex Steinbach(って初聞き)のアップライト。

十日目(11.8)
ゆっくり起きて洗濯など。この日のピアノ練習はアトリエの電子ピアノのみ。夕方今日のライブ会場のアトリエ・タンポン入り。ピアノは古いプレイエルのミニグランド、ちょうど少し改修したばかりとのこと。リハ後、会場二階でパスタなどいただく。ライブ、第一部はユーグとデュオ。第二部はビオラのシプリアンと3人でトリオ。「昨日も今日もこの会場にこんなにひとがいるの見たことないよ、タクジ、君はここで有名だね!(笑)」とユーグが言うが、そんなわけはないのだが、今日も盛況(ブロンディさんや史絵ちゃんも)で、たくさんのひとに会った。また2時頃まで。

十一日目(11.9)
この日は、アムスでの公演に誘われていたので、列車の切符が振り替えられたら出発する案だったのだが、たまたまタリスのメンテナンスか何かの運休日でかなわず。その代わりではないが、(昼過ぎにケンタローくんの隣人のピアニストの麻子さん宅で少し練習したあと)ケンタローくんの教えてくれた公開即興セッションに一緒に行ってみる。会場のルガール・ドゥ・シーニュは広めのテルプシコール(@中野)みたいな感じでよかったが、あいにく時間切れで参加はできず。夜、麻子さん宅でケンタローくんと3人で夕食歓談。
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